★グリーンメールマガジン No.152★ 世界の水事情をご紹介。

2009年8月25日発行 株式会社フルハシ環境総合研究所
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         GMM[Green Mail Magazine]  No.152

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*GMMは地球環境問題を前向きに解決し、「緑豊かな」地球を目指すとい
 う意味を込めて、「グリーンメールマガジン」と名付け、皆様に月2回
 お届けする環境マガジンです。

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【本日の特集】
1.世界の水事情
  太田千晶(株式会社フルハシ環境総合研究所)

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◇◆本日の特集◆◇
1.世界の水事情
  太田千晶(株式会社フルハシ環境総合研究所)
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冷夏だ、冷夏だと言われてますが、仕事の後のビールがおいしい季節ですね。
やはり日中、外を歩くと汗が出るのでお水も大変おいしく感じます。
日本は本当に水に恵まれた国です。
一方で、世界の水需要は切迫しています。

世界の水は塩水97.5%、淡水2.5%に分けられ、人間が使用できる淡水はそのうち
のわずか3分の1程度です。
水は貴重な資源ですが、工業の発展と人口増加に伴い、世界全体の水使用量は
1970年と比較すると2000年には倍の量まで膨れ上がりました。
そして現在、世界人口60億人中5億人が慢性的に水が不足している国に住んでい
ます。
2050年には世界人口は89億人に増加すると予想され、内40億人もの人々が慢性
的な水不足に悩まされると予想されています。
また、水は不足しているだけではなく、安全な水の安定供給についても問題を
はらんでいます。
世界保健機構(WHO)の発表によれば10億以上の人々が淡水の安全な供給を受け
られず、発展途上国における全ての病気のおよそ80%が水に関わる問題に起因し
ているとされています。
このような問題が起きている背景に次のような世界の水事情があります。

◆水を供給する体制の問題◆

日本では一般的な水道水の供給は地方自治体が公共事業として行っています。
自治体管理なので、それぞれの自治体で上水と下水の金額は異なりますが、決
して払えないような法外な金額がつけられることはありません。
しかし、一部の国や地域では公共事業としての供給が十分でなく、民間企業に
よる水の供給に頼らざるを得ない人々もいます。
米国や新興国で行われた民間企業による供給の結果、最も貧しい人々がそのし
わ寄せを被り、生きていくのに不可欠な水が手に入らなくなるという問題が発
生しているのです。

例えば、政府の許可を得ていない「もぐり」の水供給業者による法外な金額設
定や、コスト削減による水質の問題、「もぐり」ではない場合においても、利
潤追求が第一目標になり利益が再投資されず株主配当や内部留保に回る、貧困
層や地方部が取り残される、等の問題が起きています。
上記の件に関しては国連総会議長の水問題に関する上級アドバイザーを務める
Maude Barlow氏も「水道民有化が残した負の遺産には、貧しい人々への供給停
止、高い水道料金、サービス低下、約束不履行、そして汚染などが挙げられる」
と民有化モデルの失敗を述べています。

また、生活に不可欠な水の供給に関してだけでなはく、日本でもコンビニなど
で購入することの出来るボトルウォーター事業においても、その事業のために
水源が買収され、大量に水が汲み上げられることで水源が枯渇するという問題
が起きている例もあります。

このように、各国で水のビジネスが繰り広げられる裏側で必要な人に水が行き
渡らないという深刻な問題が起きているのです。一部の研究者や活動家から「
水」は国連の世界人権宣言第25条(※1)に登場する「食糧」と同等に、生き
るために欠かせないものであるとして、基本的人権と考えるべきだとする声が
挙がっています。
2009年3月にトルコのイスタンブールで開催された世界水フォーラムでも水の
公平性が市民運動家やNGO活動家から訴えられていますが、これに対する答
えはまだ出ていません。
また、公正化が賛同されても、実行するのは非常に難しい問題でもあります。

◆気候変動の水資源への影響◆

世界人口は増え続ける中、さらに地球温暖化による環境の悪化も進んでいます。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2007年に発表した第4時評価報告書に
おいて地球温暖化の原因が人為起源の温室効果ガスの増加によってもたらされ
たことが示され、同時に気温の上昇が水を取巻く環境に対しても影響を与えて
いることが明記されました。
多くの地域において1900年から2005年にかけて降水量には長期変化傾向が観測
され、降水量がかなり増加した地域や厳しい干ばつに見舞われる地域が拡大し
ていることが確認されています。
さらに、湖沼や河川等では水温上昇が原因となる水質の悪化が生じていること
が発表されています。
その結果、人が使うことの出来る淡水はますます困難になっています。

現在、日本には十分な水があり、安全な水道水を安定的に飲むことができます。
しかし、海外の資本が日本の豊富な水資源に注目しているという事実もあり、
世界の水事情はすで他人事ではなくなっています。
水は誰のものなのか、限りある資源として有効に、かつ公平に使うにはどうし
たらいいのか、問いはつきませんが、私たちが普段水を使う際に、世界の水に
ついて思いを巡らせてみることも大切ではないでしょうか。

※1:世界人権宣言 第25条
 1 すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家
族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障
害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受け
る権利を有する。

◆参考資料◆
・「水の世界地図」監訳者:沖 大幹 訳者:沖 明 出版:丸善株式会社
・みずものがたり 企画監修:山本良一 出版:ダイヤモンド社


◇◆編集後記◇◆―――――――――――――――――――――――――――
先日イラクに行った知り合いにGCC(湾岸協議会)諸国が造水関連設備の拡
充に力を入れると聞きました。海洋深層水を淡水化する大型の造水プラントは
水需要を支えているだけでなくボトルに詰められて各国に輸出されているそう
です。
何より私がびっくりしたのは、それらのプラントがことごとく「Mede in
Japan」だったということです。日本の技術の高さを実感するとともに、誇ら
しい気持ちになりました。
同時に、困窮したことがない故になかなか普段は大切さを感じることのない
「水」について改めて考えさせられ、コラムとして掲載させていただきました。
(太田千晶)
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